DAITO.WS / PROJECTS
TAICHUNG / 2026

RELATIONAL TIME / 01

Relational
Time

2026.10.03 — 2027.01.03

台中で初となる、真鍋大度の大規模個展。

台中市立美術館の建築空間に合わせて特別に制作された新作インスタレーションを発表します。AI、人間の身体、空間認識を主題に、テクノロジーと人間の関係を探究する没入型の三作品です。

主催
Taichung Art Museum
入場料
NTD 100 / JPY 500
開館時間
火–金 9:00–17:00 / 土 9:00–20:00 / 日 9:00–17:00 / 月曜休館
Relational Time キービジュアルの仮デザイン
キービジュアル / 仮デザイン

世界は、関係の持続から生まれる。

機械が一秒のうちに何千もの未来を探索できる一方で、人間の経験は、信頼を築き、迷い、癒やされ、記憶するための、よりゆるやかな時間の中で展開する。本展は、この異なる時間尺度から出発し、関係そのものがどのように時間を生むのかを考える。

身体、エネルギー、情報、空間、時間のあいだに続く関係から、形態、振る舞い、環境が立ち現れる。出来事は履歴として蓄積され、その履歴が新しい状態と可能性を生み出す。映像と音は、変化し続ける世界の内部状態を知覚可能にするための、二つの窓である。

三つの環境、ひとつの連続する時間。

展示は、独立した作品の集合ではなく、異なる関係のあり方を通して変化し続ける一つの時間構造として展開する。

  1. 01Room ALife Beyond Simulation
  2. 02Room BEcologies of Memory
  3. 03Room CRelational Sound Field

Taichung
Art Museum

台中市西屯区の水湳経済貿易園区に位置する台中市立美術館は、美術館と公共図書館を融合した台湾初の文化複合施設です。

建築は、SANAA(妹島和世・西沢立衛)と、Ricky Liu & Associates Architects+Plannersの協働により設計されました。

ROOM A / 01

Life Beyond
Simulation

Room Aの空間スタディ
壁面と床面を映像に包まれる没入型映像空間

世界の状態とともに、変化を生む条件そのものが推移する。

膨大な細胞や粒子の振る舞いは集団へと組織され、シミュレーション内部のLLMエージェントが、その関係と履歴を読み取る。エージェントの判断はパラメーターやアルゴリズムの選択へ戻され、世界の次の展開を変えていく。

映像と音は同じシミュレーションデータから生成される。開幕前と閉館後の計算が内部の履歴を進め、正面壁と床面の映像、空間を満たす音として現れる。

観客は、自分のいない時間に世界が通過してきた状態へ立ち会う。

Room Aのコンセプトと技術構造を読む ↗

ROOM B / 02

Ecologies
of Memory

Room Bの空間スタディ
壁面3面を映像に囲まれる映像インスタレーション

観客の行動を環境の記憶として蓄積し、その履歴から変化し続ける生態系を生成する。

移動、滞留、接近、回避、密集、分散。空間で生じる行動は、時間、位置、速度、他者との関係として読み取られ、環境の密度、エネルギー、資源の流れ、境界の条件へ変換される。

観客が残す痕跡は、減衰しながら他者の履歴と混ざり、次に訪れる人と環境を構成する存在へ受け継がれる。観客は結果を見る者ではなく、世界が変化する条件に関与する。

会期を通じて、蓄積された行動はこの場所に一度だけ生まれる環境と記憶の歴史をつくる。

ROOM C / 03

Space in
Relation

Room Cの空間スタディ
24台のスピーカーで構成されるサウンドインスタレーション

人々の存在によって、空間固有の時間が生まれていく過程を探究する。

展示空間に分散した24の知覚と発音の拠点は、人の移動、距離、方向、滞在を継続的に受け取る。近づく、離れる、立ち止まる、軌道が交差する。そのつど空間の条件が変化し、関係は音の位置、リズム、密度、残響、沈黙として現れる。

構成にあらかじめ定められた順序はない。複数の出会いが重なり、誰にも完全には制御できない音響的な状態をつくる。可視化されたコンソールは、その背後で変化し続ける関係の布置を示す。

時間は関係から生まれる。待つことで広がり、動くことで収縮し、複数の存在が共にあることで形を変える。

三つの環境を、ひとつのシステムとして見る。

Room A / B / Cの空間形状と、音響・映像・センシング・照明の構成を切り替えながら確認できます。

FBX形状と機材台数は資料に基づきます。黄色のラベル、視野角、未確定機材の位置は検討用プロキシであり、施工座標ではありません。

全画面でシステムビューアを開く ↗ A / B / C · AUDIO / VIDEO / SENSING / LIGHT

条件だけを設計し、走らせる。

映像でも音でもなく、それらが立ち現れる条件を設計するとどうなるか。ここに流れているのは、演出された動画ではなく、条件を走らせた記録である。個体が痕跡を残し、痕跡は拡散して減衰し、残った場が次の移動を偏らせる。誰も全体を見ていない。それでも網が立ち上がる。

同じ場を、三つの速さで憶える。数秒で消える層、堆積する層、ほとんど更新されない層。世界の性格は、何を憶えているかではなく、どの速さで忘れるかの分布で決まる。 この過程は、いまこのページの背後で流れているものと同じである。

音は別に作曲していない。映像を生む条件そのものから読み出している。忘却の速さが残響の長さになり、痕跡の濃さが粒の密度になり、感覚の届く距離が和音の開きになる。新しく到来する者の割合は、和音に無い音が混じる確率である。和声はマイナー9thを軸にした六つのヴォイシングで、条件がそのあいだを渡り歩く。

ここから生まれる概念。

三つの環境の構成と副題の賭けが揃ってはじめて名指せるようになったものだけを置く。

忘却スペクトル
世界の同一性は、何を憶えているかではなく、どの速さで忘れるかの分布によって決まる。音色が倍音の分布であるように。
知覚できない知性への参加
集合的な認知が一回の滞在より長い時定数で動くとき、その知性に加わっている者は、その知性を知覚できない。自分が構成要素になっている思考を、決して思考できない。
無痕の関与
測られずに関わるという様態。相続の連鎖の外側に立てる唯一の場所であり、痕跡を残さない自由が床として実装されている場所でもある。
重さのある視点
床に広がる世界を見下ろすとき、その視点は俯瞰でありながら、対象の上に体重をかけている。神の視点は、重さを持った瞬間に神の視点ではなくなる。
移し替え可能な創発
粘菌にも培養神経細胞にも脳オルガノイドにも共通していたのは、要素が知っていることの総和を超えるふるまいだった。その性質だけを基質から剥がして運べるか。
背面からの到来
世界は入口に背を向けている。人はつねに、進行中の過程へ、その正面ではない方向から加わる。
条件の相続
何が起きたかは失われ、何が起こりやすいかだけが残る。相続財産は出来事ではなく、地形である。
減衰する作者性
人は共著者になる。ただし、その署名は設計上、消えていく。取り消せない代わりに、主張もできない。

WORKING DRAFT / CURATORIAL & COLLABORATOR REVIEW

結論ではなく、議論のための共通作業面。

中心命題、三室の差、語法の規律、解かないまま持つ問い、制作として決める事項を一つのページに整理しました。各論点へメモを書き、議事録をMarkdownとして持ち帰れます。

JA / EN · NOTES STAY IN THIS BROWSER · EXPORT AS MARKDOWN

相互形成としての生命。

個体、環境、システムは時間のなかで互いを形づくり、共有された履歴から新たな可能性を生む。人間と機械の営みが深く絡み合う現在、本展は、注意を向け、応答し、関係を持続させることから、どのような共存を構成できるのかを考える。