# v9 設計ログ — 中間言語が死に、別の言語が要った 2026-07-29。 --- ## 0. 記法が使えなくなった v7 で作り、v8 で「三欄が空になった」と記録した記法: ``` RULE ::= ⟨ ASK , ANSWER , EDIT , EMIT ⟩ v3 ⟨ — , side(公正) , never , out[s] ⟩ v5 ⟨ side , side(公正) , 反証のたび , out[s] ⟩ v6 ⟨ repeat , repeat , 反証のたび , out[s]* ⟩ v7 ⟨ q , q , 反証のたび , out[s]* ⟩ v8 ⟨ — , side(公正) , never , taps·s ⟩ v9 ⟨ — , side(公正) , never , coord₁(affine(s)) ⟩ ``` **v8 と v9 は、この記法では EMIT 欄しか違わない。** そして v8 と v9 は **読者にとって完全に同一**で(同じ h_μ・同じ E・同じ三次の盲)、 違うのは**どんな読者も取り出せない1ビット**である。 > **記法は、違わないところを四欄も並べ、違うところを一言も書けない。** 理由ははっきりしている。`⟨ASK, ANSWER, EDIT, EMIT⟩` は**規則がどう書かれているか**の記法である。 v3〜v7 は規則の書き方が毎回変わったので役に立った。v8 以降は書き方がほぼ固定され、 **変わっているのは規則が読者に対して何を拒むか**になった。 ## 0.1 だから記法を取り替える ``` MACHINE ::= ⟨ 記憶 , 平坦域 , 秘匿 ⟩ 平坦域 × (2 − h_μ) + 秘匿 ≤ 記憶 ← 保存則 ^ 最初に拒むもの ^ 永久に拒むもの ^ log₂(因果状態数) ``` 同じ系列をこの言語で書き直すと: | | 記憶 | 平坦域 | 秘匿 | 使い残し | |---|---|---|---|---| | 白色雑音 | 0.000 | — | 0.000 | 0.000 | | **v3** | 4.585 | 1 | 1.937 | **1.633** | | **v8** k=3 | 2.000 | 2 | 0.000 | **0.000** | | **v8** k=4 | 3.000 | 3 | 0.000 | **0.000** | | **v8** k=6 | 5.000 | 5 | 0.000 | **0.000** | | **v9** | 4.000 | 3 | **1.000** | **0.000** | **新しい記法は、古い記法が書けなかったことをちょうど書く。** そして v3 が予算を 1.63 ビット使い残していたことは、**古い記法では見えなかった**。 --- ## 1. v9 が答えた問い v8 は「平坦域 3 以上と χ > 0 は両立するか」を未解決として残し、 「32状態の乱択6万回で h(2)=2 が一つも出ない = **乱択が 4^L 直交条件に対して間違った道具**」と書いた。 正しかった。**構成で述べれば出た。** ### 1.1 なぜ線形では駄目なのか(v8 の壁) 任意の非零な GF(2) 形式は、末尾の零を外せば定数項が非零になるので、 **逆元が形式的冪級数として存在し、駆動列が割り算で戻る**。 k=3,4,5 のタップ対 **591 通りすべてで χ = 0.00000000**、互いに素かどうかは無関係。 > **駆動列が戻る機械は、状態について何も隠せない。** だから状態は「金属の答えの窓」であることをやめる。 ### 1.2 v9 の形 ``` 状態 Z₄ × Z₄ 出口 第一座標 ← 4対1・バランス [4,4,4,4] は座標射影だから自動 遷移 二つのアフィン置換 p_b(a,c) = A_b·(a,c)ᵀ + t_b, A_b ∈ GL(2,Z₄) ``` アフィン置換は **96 × 16 = 1536 個**。切る円盤は**探索で選ばない** — > **平坦域が(どの対が達成しうる最大の)厳密 2.000 ビットである対すべて**、 > というクラスを述べ、**このファイルに書いた列挙順の最初の対**を切る。 平坦域の判定は**整数の数え上げだけ**で行い、浮動小数点は一度も判定に関与しない。 ### 1.3 結果 | | 記憶 | 平坦域 | 秘匿 | h_μ | E | C_μ | 因果状態 | |---|---|---|---|---|---|---|---| | **v8 k=4** | 3.000 | **3** | **0.000000** | 1.000 | 3.000 | 3.000 | 8 | | **v9** | 4.000 | **3** | **1.000000** | 1.000 | 3.000 | 4.000 | **16** | > **読者にとって二枚は完全に同一である** — 同じレート、同じ E、三次まで同じ厳密な盲。 > **違いは、どんな読者もどんな長さでも取り出せない 1 ビットだけ。** ### 1.4 残る著者性は v8 より大きい。書いておく 2,359,296 対のうち **20,480 対**が平坦域 3 に達する = **14.32 ビット**の著者性が残る (v8 は 2(k−2) = 4 ビット)。ただし 400 個の標本で χ は **min 0.0 / 中央値 1.0 / 最大 1.0** で、 切った対は**中央値かつ上限**にいる。χ=0 の少数派は、 **因果状態が 8 に潰れるもの = 変装したレジスタ**である。 --- ## 2. 自己テストが予想を上回った(記録) `check("its plateau", f, 2)` と書いて走らせ、**3** が返った。 2 は走らせる前の私の見込みであって要件ではなかったので、テストの側を直した。 **v8 が未解決として残した問いへの答えが、v9 の最初の自己テストで出た。** ## 3. v10 が受け取る問い 保存則が言っているのは「予算がある」であって「どの比率でも使える」ではない。 現時点で上限に乗っているのは **(平坦域, 秘匿) = (k−1, 0) と (3, 1)** の二種だけである。 > **v10 の問い: 予算はどの比率でも使えるか。(2,2) や (1,3) の円盤は存在するか。** 存在すれば、系列は**二つの例ではなく一本の曲線**を持つ。 そして曲線上の各点は、**見た目が同一で、読者から拒むものが違う円盤**である。