# 訂正 — 2026-07-29(v18・v19) [HANDOFF](HANDOFF.md) の最優先の未完項目を潰しに行って、**項目のほうが間違っていた**。 そしてその過程で、**公開している主張が二つ落ちた**。新しい円盤は v19 の対照8枚と v18 の対照8枚しか増えていない。変わったのは、また物差しである。 計器: [`only-surprise/engine/spread.py`](only-surprise/engine/spread.py)(新規・`--self-test` 付き) --- ## 1. v19 の「拡がり比 0.603」は、v19 の性質ではなかった HANDOFF はこう書いていた — > **1.(最優先・未説明)v19 の円盤だけ拡がり比が 0.603。** 他の全版は 1.0 近傍で、 > 8時間の終盤に線が中心へ寄っている。**原因が分かるまで、v19 を他と同じ対象だと言ってはいけない。** この一文には、確かめられていない主張が三つ入っていた。三つとも偽である。 ### (a)「他の全版は 1.0 近傍」— 偽 **対照を走らせる前から、ディスクに8時間走行が64本あった。** | | n | 範囲 | 平均 | sd | |---|---|---|---|---| | 8時間走行(対照前) | 64 | **0.443〜1.255** | 0.914 | 0.181 | | 80時間走行 | 6 | 0.924〜1.023 | 0.987 | **0.037** | v19 の 0.603 は **z = −1.71、下から6番目**。より低い走行が既に5本ある (`v5/frozen0` と `v5/frozen2` が 0.443、`v10/p2c` が 0.490、`v6/s1` が 0.523、`v5/F0` が 0.562)。 私は v16〜v19 の四枚だけを見比べて「v19 だけ外れている」と書いた。 **手元にある記録を数えていれば、この項目は立たなかった。** ### (b)「終盤に線が中心へ寄っている」— 偽。**逆である** 比は標準偏差の比であって平均の比ではない。平均を見ると: | 円盤 | 区画ごとの平均半径(mm) | 最終区画 | |---|---|---| | v19 | 263 268 250 248 182 278 215 **298** | **全区画で最大** | | v18 | 251 256 236 228 274 275 257 **218** | 全体平均より下 | **v19 の最終区画は平均半径が最も大きい。**線は中心ではなく外周にいた。 ### (c)「原因が分かるまで v19 を他と同じ対象と言ってはいけない」— 原因は v19 になかった 理由は二つあり、どちらも規則と無関係である。 **境界による圧縮。** r は [0, 386.7] に住み、線の密度は面積一様に近い。 窓の平均半径が外周に寄れば、r の動ける幅そのものが狭くなる。10枚 × 32窓で測った: | 窓の平均半径 | 窓 | 窓内 sd | |---|---|---| | 250〜280 mm | 92 | 84.6 | | 280〜310 mm | 72 | **68.3** | | 310 mm 以上 | 30 | **48.1** | v19 の最終区画は平均 297.7 mm・sd 60.3。**この傾向のど真ん中である。** **標本誤差。** 半径の積分自己相関時間は実測で **0.05〜0.23 機械時間**。 8時間走行の最後の1/8は1時間なので、**独立標本が10個ほどしか入らない。** 10標本の標準偏差は 1/√(2·10) = 0.22 の桁の相対誤差を持つ。 記録の sd 0.181 はこれである。80時間なら最後の1/8は10時間・独立標本は約100個で、 実際に sd は **0.037** に落ちる。 ### (d) 決定的な対照 — 同じ機械を、別の開始点から HANDOFF 自身が指定した対照を実装した(`v19.run(start=...)`、`v9.run` と同じ規約。 `v18.run` にも同じものを足して対にした)。**既定の走行は3ファイルともバイト一致を確認済み。** | | 8つの開始点での比 | 範囲 | sd | |---|---|---|---| | **v19** | 0.603 1.070 0.936 0.830 0.709 0.694 1.069 1.114 | **0.603〜1.114** | 0.185 | | v18 | 1.057 1.047 1.015 1.012 0.835 1.011 1.060 0.911 | 0.835〜1.060 | 0.074 | **公開した 0.603 は、同じ機械の8回の引きのうち最も低いものである。** 規則も身体も時間も同じで、変えたのは工具がどこから始めたかだけ。 そして v19 の対照だけで sd 0.185 — **64本の記録の sd 0.181 とほぼ同じ幅を、一つの規則が単独で出す。** さらに、16走行を通した **最終区画の平均半径と比の相関は −0.652**。 **この統計の4割は「最後の1時間がどこにいたか」の言い換えである。** ### (e) 疑いの①と②も否定された | HANDOFF の疑い | 測定 | 結果 | |---|---|---| | ①十六分岐に到達しない枝がある | 16枝すべて到達、標本 3188〜3752、全枝 精度 1.0000 | **否定** | | ②`compose()` の `% cmax` が遅れを小さい側へ寄せる | 合成後の遅れ 48個の平均 **12.0**(一様 1..23 の平均と一致)、枝ごとの最大遅れは 10〜23 | **否定** | | ③開始点の効果 | 上の (d) | **これだった** | > **決着。v19 は他と同じ対象である。この項目は閉じてよい。** > 落ちたのは v19 ではなく、**8時間の拡がり比を一つだけ見て何かを言えるという前提**である。 --- ## 2. 計器 `spread.py` — この数字が単独では何も言えないこと - `windows()` / `ratio()` — 公開してきた統計と、その8区画すべて - `autocorr_time()` / `resolution()` — **この走行の比がどれだけの標本誤差を持つか** - `verdict()` — **比と、窓の平均半径を必ず対で返す。** 両方が動かない限り「落ち着いた」と言わない - `census()` — ディスク上の全走行。**新しい比には、まずこの分布を当てること** - `--sweep v19 --starts 8` — 同じ規則を別の開始点から 自己テストが守っているのは一点: **「本当に中心へ落ち着いた線」と「外周を走っていただけの線」は、同じ比を出す。** 合成データで両者の比の差は 0.05 未満で、`verdict()` だけが区別する。 --- ## 3. 落ちた主張(1)— v18 の「表を厳密に回収」 公開ページ(beyond-reach)と [ARC-v16-v20.md](ARC-v16-v20.md) はこう書いている — > 「規則の在り処の規則」を当てる読者 | **四分岐すべて 1.0000、表を厳密に回収** 精度 1.0000 は正しい。**「厳密に回収」は正しくない。** v18 の読者は `t[i-1]` でテープを分ける。**分けた枝の中では、遅れ1の記号は定数である。** だから真の三つ組が遅れ1を含む枝では、遅れ1の枠は**何に置き換えても同じ精度が出る**。 | 枝 | 表 | 同じ精度 1.0000 を出す支持 | 読者が返したもの | |---|---|---|---| | 0 | [1, 7, 23] | **21 個** | [1, 7, 23] | | 1 | [2, 11, 19] | 1 個 | [2, 11, 19] | | 2 | [3, 5, 17] | 1 個 | [3, 5, 17] | | 3 | [4, 13, 22] | 1 個 | [4, 13, 22] | 枝0で真の三つ組が返ってきたのは、`itertools.combinations` が **辞書順で (1,7,23) に先に着くから**であって、金属が (1,7,23) を指したからではない。 **v18 の金属に完全適合する表は 21 通りある。** --- ## 4. 落ちた主張(2)— v19 の 10⁵²、そして v19 の円盤は自分の表を同定しない 公開ページはこう書いている — > 何も知らずに来た読者 | **C(23,3)¹⁶ = 10⁵² 通りの表** これは上限としては正しいが、**真の表はその空間の中で全く一般的な点ではない。** ### (a) `compose()` は構造的に対称である ```python t = tuple(sorted({1 + ((x + y - 2) % cmax) for x, y in zip(tri[a], tri[b])})) ``` `x + y` は a と b の入れ替えで変わらない。だから **`table16[4a+b] == table16[4b+a]` が常に成り立つ** (実測で確認)。十六の三つ組のうち**相異なるのは10個**である。 | 読者 | 空間 | 掃き | |---|---|---| | 何も知らない | C(23,3)¹⁶ = 10⁵² | 16 | | **対称性を当てた** | **C(23,3)¹⁰ = 10³²** | **10** | | 合成則を当てた | C(23,3)⁴ = 10¹³ | 4 | **「対称かもしれない」という一つの当て推量が、19桁を持っていく。** ### (b) より重いこと — **v19 の金属は v19 の表を同定しない** v19 の枝は `t[i-1]` と `t[i-2]` の両方で条件づけられる。 だから枝の中では**遅れ1と遅れ2がどちらも定数**であり、そこだけが違う支持は **任意の長さのテープで、永久に区別できない。** | 枝 | 精度 1.0000 を出す支持の数 | |---|---| | 0, 1, 4, 15(真の三つ組が遅れ1か2を含む) | **各 21 個** | | 他の12枝 | 各 1 個 | - **v19 の金属に完全適合する16枝の表は 21⁴ = 194,481 通り(10^5.3)ある。** - 塔の読者が**真の支持を返したのは 13/16**(枝1・4・15 では表の遅れ2の枠に遅れ1を返す)。 残る一致も枝0は辞書順の当たりで、金属が指したものではない。 論証だけで済ませず、**金属の量を変えて測った**(v20 の表と同じ形。`plate/v19/degeneracy_vs_length.json`): | 接合 | 枝あたり標本 | 縮退枝の同率支持数 | 完全適合する表 | 真の支持 | |---|---|---|---|---| | 12,000 | 750 | 21, 21, 21, 21 | 10^5.3 | 13/16 | | 30,000 | 1,875 | 21, 21, 21, 21 | 10^5.3 | 13/16 | | 54,275(全部) | 3,392 | 21, 21, 21, 21 | 10^5.3 | 13/16 | **金属を 4.5 倍にしても一つも減らない。**v20 の表では接合を減らすと偽陽性が増え、 増やせば消えた。**ここでは金属の量が入っていない。** **つまり ARC の「1.0000、16/16」は精度の話としては正しく、 「表を回収した」と読ませるなら誤りである。** --- ## 5. これが v20 に何をするか v20 はこう結んでいる — > **そうはならなかった。** 40,000 接合から 100 接合まで下げて、**どの長さでも支持はちょうど一つ**。 > **地平線は実在し、接合 36 本のところにある。** 8時間の円盤は 56,000 本を持つ。 **測定そのものは正しい。** v20 が数えたのは v17 型の支持(枝で条件づけない、 1771 通り)で、そこでは全部の仮説が本当に互いに異なる。 正しくないのは**適用範囲**である。v20 の算術は 「**外れた仮説が、たまたま保留記号 t 個すべてに一致してしまう確率 2⁻ᵗ**」を数えている。 それは**外れうる仮説**の話であって、**外れることができない仮説**を数えていない。 > **v19 の円盤には後者が 194,481 個あり、それは金属をいくら増やしても減らない。** > **v20 が探しに行って「無かった」と報告した「検証はできるが同定できない構造」は、 > その一つ前の版の円盤に、最初から在った。** そして HANDOFF の未完項目4「同定できない円盤を作るには |H| を 2^16800 より大きくすればよいか」 には、別の種類の答えが出たことになる — > **|H| は大きくなくてよい。**データが定数に固定してしまう方向を仮説クラスが持てばよい。 > v19 は既にそれを持っていて、私が気づいていなかった。 --- ## 6. 開いたままのもの 1. **v19 の開始点ごとの散らばりは v18 より広い**(sd 0.185 対 0.074、 並べ替え検定 p = 0.028)。ただしこれは **8本 対 8本の分散の一回きりの比較**で、 しかも**データを見た後に思いついた検定**である。**まだ何の証拠でもない。** 本気で問うなら開始点を増やして事前に登録すること。なお元の主張(水準 0.603 が低い) とは別の問いで、水準のほうは上で否定されている 2. **同定できない方向を、事故ではなく設計として作れるか。** v19 のそれは 「枝の条件と支持の遅れが重なった」という事故である。設計するなら、 仮説クラスの側に**データが原理的に固定する座標**を意図的に置くことになる。 これは v21 の中心になりうる(HANDOFF の未完4を書き換える) 3. **公開ページ(beyond-reach)の訂正。** 上の3節・4節は公開済みの表に直接当たる。 v3 のページと同じ**訂正バナー**の形が要る。**未実施**